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2011年8月16日 (火)

圓の戦争

NHKスペシャル「圓の戦争」を見ました。戦時中の日本が、莫大な戦費の調達をいかに行ったか、についてのレポートです。ついこの間、戦争中に中国で捕虜になったおじさんから、「満州国で発行されていた『円』が、戦争直後にハイパーインフレを起こした」話を聞いたばかりだったので、「これのことだ!!」と思って、集中力を切らさないまま1時間を過ごしました。

日本政府は、朝鮮・満州・台湾など、当時の植民地に中央銀行を設立し、それぞれ「朝鮮銀行券」「満州中央銀行券」「台湾銀行券」などを印刷していて、最終的には、資産的な後ろ盾のないまま、大量の紙幣を発行することで戦費を調達していた、というあらすじです。番組の中で、「円」で中国をはじめとするアジアを支配したい、と考える経済系官僚が、満州国支配を企てる軍部と歩調を合わせていく姿なども明らかにされています。金融・財政に一定の規律・秩序を保とうとした高橋是清蔵相が軍部に暗殺されたという、歴史の教科書で習った二・二六事件の背景が、克明に理解できました。

この番組を見た後、私は、二つの現代的な事柄を思い浮かべました。

ひとつは、ファイナンス技術に傾倒して凋落したIT企業の姿です。同社が市場で行っていた誇大な情報開示は、それを信じる投資家たちにより一時資本が大きく膨張しましたが、実体を伴ったものではないことが分かった瞬間、株券は紙切れになりました。

もうひとつは、日銀による国債引受の問題です。日銀のバランスシートを見ると、資産総額142兆円のうち、77兆円は国債、56兆円は民間金融機関等への貸出金です。これを後ろ盾として、81兆円の通貨を発行し、民間金融機関等からの預金41兆円を受け入れています。国債保有は、いったん市中消化された国債の市場からの買入(買いオペ)等によるもので、新規国債の引き受けではありません。日銀による新規国債の引き受けは、原則として禁止されています。無秩序な通貨発行を認めれば、それが実体を伴ったものでないことが分かったとき(たとえば国債の償還が不可能であると多くの人が思ったとき)、通貨が紙切れになるからです。

そういったなかで、「震災国債の日銀引受」が議論されています。白川総裁は否定的なコメントを残しているようですが、みなさんはどのようにお考えになられますか?

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